赤ちゃんの指をくすぐる初湯かな
新年の月を宿せる床柱
手相見の紋付き袴去年今年
穢土浄土しずかにこぼつ実南天
ささくれの心にしみる蜜柑かな
指先のささくれ立ちて蕪干す
初釜の男点前や七事式
寒梅に頭を寄せる五、六人
なまはげの野太き声を迎えけり
姫神の樹霊のひかり深雪晴
断ち切れぬ思ひくすぶる冬薔薇
国道の一直線に春隣
指先に灯油の匂ひ春の雪
昔よくモテたものだとちゃんちゃんこ
あらたまや太平洋の怒濤音
法螺の音の遠きにありて深雪晴れ
あらたまや芽を出すものの堅きこと
初夢や鎮守の森の息深し
嫁が君勝手知りたる悉皆屋
読初のいともやさしき南部弁
読初や墨の香りの手漉き和紙