空蝉を持ち帰る子の目の光 (うつせみをもちかえるこのめのひかり)
いつまでも終はらぬ会議蝉しぐれ (せみしぐれ)
盆踊り帰る故郷のあればこそ (ぼんおどり こきょう)
線香のこぼれやすさよ秋の雨 (せんこう)
大銀河ほど良き距離の出湯小屋 (だいぎんが いでゆごや)
桃剥ける指うつくしき男かな (ももむける)
新涼や幟はためく村歌舞伎 (しんりょうやのぼりはためくむらかぶき)
霧の夜の鶴よ誰にもかしづくな (きりのよのツル)
月光の鶴みじろがずかしづかず
もてあます身の置きどころ残暑かな (ざんしょ)
初秋や旅行鞄は斜め掛け (はつあき ななめがけ)
迷いなど微塵も見せず鬼やんま (みじん おにやんま)
年老いて阿吽の呼吸とろろ汁 (あうんのこきゅう) ←高点句
