春。
先日、一枚の写真付きハガキが届きました。
生まれて数ヶ月の我が子を見てほしいと。
「みどり子」という言葉にぴったりのパワフルな赤ちゃん。
大きな瞳とぎゅっと握った両手。
ふくふくした両足は、思いっきり空を蹴っています。
標準以上の体重だそうで、「母乳をたくさん飲みます」って
添え書きがありました。
この赤ちゃんのお母さんは、実は幼児期に両親から虐待を受けて
育った過去を持ちます。
リストカットを繰り返し、愛情を求めても得られない苛立ちから、
何度も問題を起こしていたときに、出会いました。
包帯をぐるぐる巻いて、過呼吸になって、
周囲に自分のそういう姿を示すことで、自分の存在を確かめる・・
私は、彼女を通して「トラウマ」の恐ろしさを、実感しました。
生命の尊さ、生かされていることへの感謝の念を
ろうそくのあかりのように、心にともしてほしいと祈るだけの
日々でした。
彼女に赤ちゃんができて、幸せな家庭を築けたことを知り、
私はこの句の持つ力を感じたのです。
畳蹴る赤児のちから木の芽吹く