<我が家のイヌワシ剥製>
もう、かれこれ60年以上は、我が家にあるのです。
夫が生まれた頃には すでに
離れ座敷にあったとか。
子どもは、怖くてその部屋に入れなかったって。
義父が、どこかで入手したようで、このテの技術者も
少なくなったと聞いています。
現在、日本には400~500羽しか生存していないイヌワシ。
写真や映像で見ることもなくなりました。
孤高の王者。
決してなつくことのない猛禽類を
鷹匠たちが
殿様のために誇りを賭けて必死で餌付けをしたとも。
人とタカとの真剣な闘いがあったのでしょう。
テリトリーがハンパじゃないですもの。
約60平方キロメートルの空がないと生きていけない鳥。
オオタカもクマタカも
トンビも
みんな絶滅寸前です。
以前、木から落ちた百舌(モズ)のヒナを
拾って「エサ」を与えましたが、
猛禽類の常で
餌付けを拒否して死なせてしまいました。
あの ちっちゃな猛禽類でさえそうなんです。
ましてこの巨大な鳥たちは、哀しい存在です。
消えた森が空が空気が、彼らの生態系を壊してしまった。
このイヌワシの剥製の、「目」と「爪」が鋭い光を放って
私に語りかけてきます。
かつて 食物連鎖の頂点に立つ彼らを
神格化し畏怖していた時代は
もう来ないことを・・・