NHK経営委員が、選挙期間中に特定の候補を応援するのは異例。
有楽町駅日比谷口2014/02/03での街頭演説の動画を見た。
中立公正の立場でなければならないNHK経営委員である百田氏が、応援演説で、堂々と
他候補者の3人を「・・・どいつもこいつも人間のクズ・・・」と誹謗した映像は、公人の発言として
あまりにも軽率であり、百田氏の人間性を疑った。いくらなんでもクズ呼ばわりするなんて。
あの映画に感動した1人として、とても残念でならなかった。
確かに新宿での街頭演説で百田氏が言われた、戦後教育の自虐史観は子どもにとってマイナスであり、日本人を誇りに思えない教育はすべきではないが、それにしても、と思う。
『永遠の0』は戦争賛美の映画ではなかったのに、百田氏の街頭での肉声は「化けの皮」が剥がれた生々しい本音に思えて、逆に映画をおとしめるマイナスイメージになってしまった。
原作を読んでいないので、あくまでも映画のコンセプトとして。
過激な極論に走る戦時中の大人が、純粋な若者を死に駆り立てていったではないか。
百田氏の演説は、それと同じスタンスの暴言だと感じた。
(毎日新聞社説を一部引用はじめ)
NHK経営委員の任命権は、安倍晋三首相にある。
さらに、右翼団体の元幹部について、昨年10月にこの自殺を礼賛する追悼文を発表していた哲学者の長谷川三千子氏も同じくNHK経営委員であり、長谷川氏や百田氏が経営委員に選ばれた時、安倍首相との距離の近さが指摘され、NHKの報道姿勢などが偏ったものにならないかと懸念されたという。
(毎日新聞社説を一部引用終わり)
『少年H』に、当時の大本営発表のウソ、報道のウソを体験し、戦前の偏狭なナショナリズムと戦後の民主主義のあまりにも手のひら返しの大人の欺瞞が描かれていたが、一連の阿倍首相の国会答弁の軽々しい態度にも、私は大いに疑念を持つ。
良い薬のおかげで持病が治り、政界復帰し、首相に返り咲いた時はあっけにとられたが、いったい彼は、これから何を押し進めようとしているのだろうか。
自信満々、意気揚々と反り返って足を組み、自分が任命したのに 「聞いていないから、答えようがない」と鼻で笑うように質問者をあしらうあの態度。
それを失笑する周囲の国会議員たちのつくる「場の空気」・・・。
これでいいのだろうか。
私は無党派層の1人であり、支持する政治家もいないが、
うす暗い時代への兆候を感じておびえている。
昭和16年から開戦したのではない。
それ以前から、「空気」は醸成されてきたのだということを意識していかなくてはならない。
『少年H』の作者、妹尾 河童氏は昭和5年生まれ。わが父は昭和3年生まれ。
あの時代を生き抜いてきた人たちの言葉は、重く深い。