先生と呼ばれし月日草の花
あんを練る指の弾みや秋彼岸
日射し受け葡萄の房のたわわなる
秋の教室昭和生まれは私だけ
すりおろす林檎の音や母なき子
短日や父の書斎の窓明かり
巻頭に「一日一生」日記買ふ
あれそれと買ひ物ばかり年の暮れ

風花やコンビニの角曲がりけり
埋み火や一夜泊りの通夜の客
淡雪や巫女うつくしき青海波
神の留守口笛遠く聞こえけり
ヘンデルの譜面はやさし神の留守
修験者の回峰行や冬の鳥