narinattaのスイートプラン

気ままなライフ日記

『アリラン』

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写真=自伝的ドキュメンタリー「アリラン」でカンヌ映画祭公式部門「ある視点」最高賞を受賞した,金基徳監督(右から2人目)が21日、授賞式に出席した。
金監督の左側は共同受賞者のドイツ人監督アンドレアス・ドレゼン氏
(写真=カンヌ映画祭ホームページ)。



 ジソブさんを知るようになってから、
映画監督さんにも興味を持ち始めて、
大森南朋さんが
「この監督さんの映画に出たい」と意気込んでたのが
キム・ギドクさん。
どういう作品なのかと見始めたら、アラマ~!強烈な作品群。
日本にはいないです。
 異端。
アウトサイダーというか「商業映画」を主流とするならば、
そういう大衆受けする作品ではない。
でもね、映像が画期的。絵画的。
ジャンルで言えば、ノワール
(人間の悪意や差別、暴力など闇社会を題材にとったもの)
底辺に生きる人間像のリアルな愛憎。かすかにある救い。
 ギドクさんは、社会の底辺を実際に生きてきた方だから
描けるのであって、
韓国の一流大学の映像学科卒業の映像マンには、
到底わからない「世の中」の辛酸をなめてきてるのです。
 だから、商業主義におもねることをしないで自分の映画を
撮り続けていらしたのです。
なかなか、できることではありません。
普通なら、とっくにスポイルされてるでしょう。

 彼の作品、全部探して観ました。
普通の女性が好むような作品ではありません
(ヒリヒリ痛い。小林聡美さん・もたいさん的映画と対極)
が、日本で マニアックなファンがかなり多いそうです。
映画俳優さん、美術、照明、音楽、いわゆるその道の
アーティスティックな支持層が厚いと聞きました。
現に『悲夢』にオダギリジョーさんが主演してるし、
新作『豊山犬』(プサンゲ)にもチョイ役で出てるそう。


で、『映画は映画だ』←ジソブさん主演 以降
3年間、ギドク監督は、映画を作りませんでした。
今までなら、年に一作は発表してきたのに「なぜ?」
と思っていましたら
謎が解けました。


 このニュースで。

引用はじめ
  
  多くの挫折を経験した金基徳(キム・ギドク)監督(51)。
 彼が自伝的ドキュメンタリー「アリラン」で21日(現地時間)、
 第64回カンヌ映画祭「ある視点」賞←最高賞で
 また話題の中心に立った。
 韓国では「非主流」だが、世界では「主流」の‘金基徳の逆説’を再演したのだ。
 金監督はベルリン映画祭監督賞(「サマリア」)、
 ベネチア映画祭監督賞(「うつせみ」)に続き、
 世界3大映画祭で受賞するという珍しい記録を持つことになった。
 13日のカンヌ現地上映の際、髪をほどいて結ぶパフォーマンスで、
 世界メディアの起立拍手に応えた金監督は、この日の授賞式では、
 作品に出てくる民謡「アリラン」の一節を歌いながら喜びを隠さなかった。

 ◇究極作家主義の勝利=「アリラン」は、08年から江原道(カンウォンド)の、
  山奥で暮らしてきたという金監督が3年ぶりに沈黙を破って発表した作品。
  映画を制作するという行為に対する根本的な質問、
  助監督出身で‘義兄弟’演出者のチャン・フン監督に対する背信感の吐露、
  韓国映画界に対する直接的な発言などで論議を呼んだ。

  金監督は今回、脚本・演出・演技のほか、撮影・照明・音響・編集など、
  「1人ドラマ」を完成した。
  現地の反応は分かれた。
  しかしカンヌ映画祭は「ある視点」部門の20作品のうち、
  「アリラン」を最高賞に選んだ。‘作家金基徳’に対する称賛とみられる。

  チョン・チァンイル釜山(プサン)映画祭プログラマーは、

  「芸術映画の究極的志向は映画に関するすべてのものを作家である監督が、
  一人でやり遂げることだが、『アリラン』はそれを実現させた名実ともに‘1人映画’。
   新しい映画を好むカンヌ映画祭側が金監督の作家性・実験性を認めたようだ」
  と述べた。
   「アリラン」は国内で試写会も開かず、カンヌ映画祭で初めて公開した。

引用終わり 

  
 『映画は映画だ』で、腹心の弟子に監督させて、成功したと思いきや
その弟子に裏切られて、そのショックで白髪になり、身体も一回り
小さくなってしまわれたのか・・・。哀れ。
キム・ギドク映画の後継者として
手塩にかけて育てた最愛の弟子の背信。いろんな事情があったにせよ、
師匠の知らないまま、メジャー投資大企業にスルリとシフトした弟子を
韓国の業界や人々は良しとしないのでは。
なんせ『アリラン』という題名は「恨」(ハン)の象徴だもの。
「恨」という精神文化は、韓国独特のものでしょ。
  
 自分の受けている苦しみや圧迫が,不当なものである、という意味の。

 受賞した『アリラン』が、韓国映画界を鋭く批判したものである以上、
国内で上映はされないでしょう。
日本の配給会社が買ったそうなので、早く上映してほしいものです。
元弟子、チャン・フン監督の第3作目『高地戦』は、まもなく上映されます。
真の力量が、そこで問われるのね。
ギドク監督が「職人気質」なら、チャン・フン監督は「業界人」
例えるなら
教職は「聖職」だから、金のことは度外視っていうのが
ギドク先生なんだろね。
う~ん、それってどうなんだろうって気もする。

 あ、それから
ジソブさんとカン・ジファンさんが『映画は映画だ』で自己投資した1億円が、
まだ彼らに償還されておらず係争中だとも、ギドク監督が語られていました。
ギドク監督のせいではなく、配給会社の詐欺事件らしいのですが、
韓国映画界は、賭博場のようだ」と謝罪なさっているそうです。
いったいどうなってるのかね、韓国映画業界は。
 
 ジソブ氏が、タトゥーしたくなる気持ちも
 少し・・・理解できる気がしますよ。