鶏肉とごぼうの炊き合わせ
アジのたたき
おさしみ(まぐろ・ほたて・真鯛)
冷や奴
チーズ&レタス&トマトサラダ
漬け物
二百十日。
台風の季節。
このごろは、季節に関係なく頻発するので油断ができません。
子どもの頃、「台風の目」という言葉が気になって気になって。
空の中心に「目玉がある」と信じていました。
どこからか、人間世界を見つめている「目」があって、
なぜだか急に怒り狂ったように、嵐の夜になる。
人間て、ちっぽけな存在なんだな・・・
自然への畏怖は「台風の目」から始まりました。
でも、非日常の時間というのは
家族の絆を深めるものです。
「ろうそくは?」
「マッチは?」
子どもたちは、引き出しから、
バタバタと停電用のろうそくや懐中電灯を準備します。
父は、外回りを点検して立て付けの悪い玄関や窓枠のメンテナンス。
母は、炊き出しのおむすびを握り、熱いお茶を魔法瓶に。
夕暮れの空は、妙にシーンとしてぬるい。
ストップモーションの木立。
「台風の目の中にいるんだ・・・」という父の言葉に、
子どもたちは、おびえながら、空の目を探す。
「目が合ったら、ドウシヨウ~~」
妹は、はしゃぎまわって父にまとわりついてる。
嵐の前の静けさ
やがて暴風雨。
家中が飛ばされるかとも思われる緊張感。
停電して真っ暗な家に、かすかに点すろうそくの周りに
家族がひしと寄り添って、台風が通り過ぎるのを待った夜。
夜が明けて、外に出ると、
散乱した木の枝やら、どこから飛んできたかわからないような
雑多な板やトタンがころがっている中
穏やかな朝日と
澄んだ青空ときれいな空気がよみがえり、
「ああ、終わったんだね~」とお互いの無事に
ほっと胸をなで下ろすのでした。
あのころ食べた
おむすびは、とびきりおいしかった。
家族の心が おむすびのようだった。